風のおくりもの2初めて彼の顔が出てきた。小学生のころだろうか・・・ もちろん彼はは覚えていないがたぶんそうだろう・・・と・・・ 後半は家族の写真だった。 家族以外のものには何の意味をなさないだろう写真。 そんな写真が続いていた。 最後のページまで行ってアルバムを閉じる。 なんお変哲もないアルバムだった。 タダ一点を除いては・・・ ・・・。 指が震えていた。 まるで、心霊写真でも見たような気分だった。 ・・・。 後半の家族の写真。 その中に確かにいた。 赤い瞳の女の子。 色あせた写真の中で今なお、その瞳は深く赤い輝きを放っていた。 まるで家族の一員だとでも言うように、赤い瞳の女の子は、何度も何度もそこに現れた。 当たり前のように、かれの隣に座っていた。 いつも・・・彼の隣にいた。 それは・・・今も・・・? 寒気を感じ、思わず後ろを振り返る。 そこに、赤い瞳の女の子がいた。 幸人「うわぁああぁあっ!?」 明日香「幸人なにを見ているの?」 幸人「あ・・・あすか?」 赤い瞳がじっと、僕の手の中のものを見つめる。 明日香「あすばむ、ですか」 幸人「あ、ああ・・・」 その瞳がやけに・・・冷たい。 明日香「それ―見ましたか?」 な、なんだよ、見たら悪いってのか? 何か・・・都合が悪いってのか? 明日香「―見たんですね」 う、うちにあったアルバムだ。僕だって写ってる。 別に見たって何も悪いことなんて―。 幸人「・・・っ!?」 明日香の赤い瞳が迫る。 幸人「明日―!?」 ひやり、冷たい感触。 明日香の手が、僕の額に触れていた。 明日香「じっとしてて・・・」 それは昔にも何度か体験したこと怪我をしたときや明日香が使ってくれた不思議な力・・・ 明日香「うごかないで」 な、なんだ、別に僕は怪我なんて・・・・・。 明日香「・・・・・・」 ―違うっ!! あのときの明日香の手は、いつまでもそうしてほしいと思うほど暖かかった。 こんなに冷たくなかった。 こえは・・・・明日香か!? 幸人「ッ!? 何のつもりだ!?」 けど、その手をふりほどけない。 なんだ・・・この力・・・・・!? 明日香「全部・・・消してあげます」 明日香「辛い記憶も、悲しい思い出も、全部明日香が忘れさせてあげます!」 記憶を・・・・・消す・・・・・? 幸人「何を言っているんだ! やめろ、これ以上僕から過去を奪うなッ!!」 くそっ、なんでこんなに細い腕がふりほどけないんだ! 幸人と明日香はもつれ合いながら床を転がる。 明日香「幸人に過去なんて必要ないんです!」 明日香「過去なんてなくても、幸人は幸人です!」 気がつけば幸人は、馬乗りになった明日香に組み伏せられていた。 それはまるで、出会いの瞬間。明日香と幸人が始めてあったときとまるで一緒だった。 手がそっと額に添えられる。 冷たい手が僕から体温を奪って行くように、記憶も奪われていくような気がする。 |